統合報告書/組織の戦略〜その6〜

統合報告書/組織の戦略〜その6〜

2019.09.09defacto02

  • 今後の課題

これまで、統合報告書の定義、作成のメリットや、制作する上でのポイントなどについて述べましたが、ここからは統合報告書の今後の課題について考えてみましょう。

前述した価値協創ガイダンスによれば、「企業が稼ぐ力を高め、持続的な企業価値を向上させるためには、企業における適切なガバナンス機能の発揮とともに、企業と投資家との建設的な対話を促すことが重要」と記載されており、企業と投資家とが積極的に意見を交換する事の大切さを強調しています。さらに同ガイダンスでは、企業が中長期的に価値を生み出す源は、強固なビジネスモデルとそれを持続的な成長へとつなげるための戦略であり、有形及び無形資産への戦略投資を視野に入れた経営が重要と説きます。しかし、投資家に企業価値を伝えるべき現状の企業開示は、長期的な投資判断には不可欠のビジネスモデルや経営戦略、ESGなどの非財務情報が不十分であるとの指摘もあります。

投資家は常に、企業を「時価総額をいかに高めていくか」というフィルターで見ています。中長期的なスパンでの価値創造の仕組みとは、中長期にわたってどのように儲けるかを実現するシステムです。これは端的に言うと「自社の強みをどのように活かして利益を上げるか」であり、ビジネスモデルに他なりません。自社の強みは、人材やブランド力、あるいは製品開発力など、企業によりそれぞれです。自社の事業活動において、価値を生み出す源は何かを的確に認識し、これを社長が自らの言葉で語り、投資家の理解を得る事が最重要課題です。そのためのツールとして、統合報告書の必要性もさらに高まるでしょう。

 

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