統合報告書/組織の戦略〜その5〜
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高評価を受けた企業
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、2017年から、株式運用を委託している17機関に対し「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」を発行している企業の選定を依頼し、毎年発表しています。2019年も1月25日に発表が行われ、「優れた統合報告書」発行企業は延べ67社、「改善度の高い統合報告書」発行企業は87社が選ばれました。
https://www.gpif.go.jp/investment/310125_integration_report.pdf
中でも、多くの機関から高い評価を受けた企業を下記に明記しました。
「優れた統合報告書」発行企業
<8機関から評価>
・伊藤忠商事株式会社
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/doc/annual_report/index.html
<7機関から評価>
・株式会社丸井グループ
http://www.0101maruigroup.co.jp/ir/lib/i-report.html
<6機関から評価>
・大和ハウス工業株式会社
https://www.daiwahouse.com/ir/ar/
・味の素株式会社
https://www.ajinomoto.com/jp/ir/library/annual.html
・オムロン株式会社
https://www.omron.co.jp/ir/irlib/annual.html
「改善度の高い統合報告書」
<4機関から評価>
・J.フロント リテイリング株式会社
https://www.j-front-retailing.com/ir/library/annual.php
・ミネベアミツミ株式会社
https://www.minebeamitsumi.com/corp/investors/disclosure/integrated_report/index.html
・株式会社島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/ir/library/annual.html
・株式会社三菱UFJフィナンシャルグループ
https://www.mufg.jp/ir/index.html
「優れた統合報告書」発行企業の一社である伊藤忠商事では、統合報告書において経営者からのメッセージに力を入れています、経営理念や経営戦略の詳細な説明はもちろん、経営陣の考え方にも紙面を割いています。創業当時の原点と社長の思いが、ビジネスモデル、さらにはバリューチェーンにまで浸透しています。これまで拡大してきた企業価値を、次の世代に向けてどのように引継ぎ、持続させていくかというコンセプトを分かり易く解説しています。丸井グループは、企業の独創性を強調し、社長メッセージをはじめとして目指す方向性をはっきりと打ち出しています。コアバリューである「信用の共創」を基盤に、自社の視点で「企業や社会の持続性」について考え、「店舗・カード・Web」の三位一体のビジネスモデルを提案しています。ことに、メインテーマに掲げた「インクルージョン」というコンセプトが、どれほど日常の業務や未来に志向する事業戦略の中核に据えられているか、具体例をもって解説しています。味の素では、「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)」を通じて、価値創造ストーリーを標榜。詳細なKPI(企業目標の達成度を評価する重要業績評価指標)を設定し、具体的なアクションに繋げる事で、企業価値創造を期待させる内容となっています。企業価値の創造を通じて社会の課題を解決しようとする姿勢から、ビジネスと社会とを有機的に統合しようとする意志が明確にうかがえます。
「改善度の高い統合報告書」発行企業に選ばれたJ.フロント リテイリングでは、サステナビリティ策定に合わせて内容を新たに改定。SDGs(持続可能な開発目標)と連携したマテリアリティの設定と、それに対する取り組みを紹介しています。百貨店業界におけるビジネスモデルの変革を掲げ、具体性のある経営戦略、人材育成への実現に向け、企業が進む方向性を分かり易く表記しています。
実際の統合報告書がどのようなものか、上記の各社のサイトからPDFをダウンロードしてご覧になってみてください。各社とも企業の目標地点と、そこへ至るまでの具体的な道のりが、豊富なデータの裏付けをもとに描かれています。投資家はこれらの企業情報を読み込むことで、企業に対する理解を一層深める事が可能になるでしょう。
