企業出版
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企業メッセージとは
マーケティングやブランディングの一環として、その企業独自の書籍を出版することを「企業出版」と呼び、マーケティングの方法が多様化する近年、その注目度を大きく上げてきています。
出版には主に3つの種類があり、1つが出版社主導で行う「商業出版」、もう1つが著者主導で行う「個人出版」、そして今回の「企業出版」に分けられます。
商業出版の場合、基本的には出版社主導で行うため、著者自身が中身にこだわることができません。一方の個人出版では、著者自身が細部にまでこだわれる一方、書店に並べることを目的としていないため、出版社からのサポートも少なくなります。
そして企業出版は、ちょうどその中間に位置しており、目的はあくまでも企業のマーケティングやブランディングですので、中身に関しては著者=企業側がこだわれる一方、書店に並べることを前提としているため、内容やデザイン、レイアウトに関しての出版社側からのサポートも積極的に受けることができるという特徴を持っています。
活字離れが叫ばれている昨今ですが、今なお書籍が持つ特別感というのは失われてはおらず、むしろWEBメディアの普及に伴って、その価値は逆に向上していると言っても過言ではありません。
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企業出版を行うことによるマーケティングとしてのメリット
1つ目のメリットは、企業理念や社長の想い・ビジョンをより多くの人に伝わりやすい内容へ磨き上げることができるということでしょう。すべての企業は、それぞれ独自のビジョンを掲げ、その達成に向けて事業を行っていくものですが、得てしてそのビジョンは抽象的で、具体性に欠けてしまっているケースも少なくありません。というのも、ビジョンが出来上がる過程は複雑なものであり、創業者自身のこれまでの歴史や経験などが大きく影響していることも多く、たった数十文字の言葉では、すべてを語り、表現することはできません。企業出版では、そうした不透明な部分を書籍化することによって明文化し、会社の存在意義をよりわかりやすく伝えることが可能になるのです。
2つ目のメリットは、信頼度の向上です。先ほども述べた通り、書籍というのはWEBメディアなどに比べても一目置かれる存在であり、その書籍によって自社の競合優位性などを発表することで、会社そのものの信用度を高めてくれます。そうなれば、書籍そのものが営業ツールとしての役割を果たすこともあるでしょう。名刺代わりとして活用していくこともできるかもしれません。
そして3つ目が、企業理念の浸透です。経営者の考えや理念が本という形で具体化することで、企業内のインナーコミュニケーションにも大きく寄与することができます。一人ひとりの社員が、自分の仕事の意義や目指していく方向性についてしっかりと理解できていれば、高いモチベーションを維持できると共に、愛社精神や帰属意識をより強めてくれるはずです。加えて、既存社員に対する効果はもちろんですが、採用活動において新たな社員を募集する際にも、効果的なブランディングとなるのです。
以上のことから、企業出版は有名企業や大手企業よりもむしろ、中小零細企業にこそ向いたマーケティング手法と言えます。認知度が高くないからこその弱みを、書籍によって広くカバーしていくことができるようになるのです。